矯正歯科コラム

2019.12.24

当医院が考える矯正治療のゴールについて②

ポイント2:きれいな口元

歯ならびや咬み合わせがきれいになっても、前歯の位置が前に出すぎて、顔と調和した位置になければ、口元の外観に問題がでます。
 ・口元に突出感がある
 ・口が閉じにくい
 ・無理に閉じようとするとオトガイ(下アゴ)の部分に梅干し状のシワができる
このような状態は、口元を構成する硬組織(骨と歯)、それをおおう軟組織(筋肉)の長さの不調和が原因で起こります。

下の写真は、矯正治療の診断のために用いる横顔のレントゲンと、顔との位置関係をあらわしたものです。上下の顎の骨と歯があって、その上を筋肉がおおっています。歯が前に出ていることで、軟組織の長さの不足がおこり、力を入れないと口が閉じられず、口唇の形が歪んでいます。

手術をしない限り、顎のかたちを小さくすることはできませんから、矯正治療では、前歯の位置を後退させることで硬組織の長さを減らして、不調和を改善する手法が取られます。
その結果、力を入れなくても口が閉じられるとともに、自然で美しい横顔を得ることができます。
安寧に口が閉じられると言うことは、見た目の問題だけでなく、咀嚼全体の機能を考えたときには非常に大切なことです。人間の本能として、機能的に整った形は美しく見えるものです。患者さんのみならず、同業である歯科医師でも、口唇の形を歪ませるような上下顎前突(両突歯列)が不正咬合であるという認識が薄いように思います。
矯正治療は美しくなることだけが目的というわけではありませんが、美しくならなければ意味がありません。矯正治療の意義について、患者さん自身にも再認識をしていただきたいと思います。