矯正歯科コラム

2021.05.14

失った歯をそのままにしていると

年齢を重ねるにつれて、虫歯や歯周病などで歯を失ってしまうこともあると思います。
今回は失った歯の場所をそのままにするとどうなるかを解説したいと思います。

①隣の歯が傾いてくる

歯を失うと、失った部分の機能を維持するための歯の自然な移動が起こります。
その動きのひとつとして、隣の歯が抜けたところに向かって傾いてきます。

②向かい合わせの歯が伸びてくる

同じ理由で、咬み合わせで対になる歯(上が抜けた時は下の歯)が、咬み合わせの接触を求めて伸びてきます。

これらの反応が続くと、咬み合わせがだんだん悪くなります。また、生じた歯列不正により歯磨きがしにくくなることで次のお口のトラブルの原因となり、さらに広範囲で歯を失うリスクとなります。

③歯茎が痩せてくる

歯を失ったところは、次第に歯を支えていた骨が薄くなってきます。そのため、差し歯で修復しても見た目に問題がでたり、インプラントを埋入するための骨量が不足することがあります。

歯の喪失は、これから起きる咬合崩壊の入り口です。患者さんの状態に応じて矯正、補綴(差し歯)など適切な治療を組み合わせて口腔内の環境を再構築しましょう。大規模な咬合崩壊がおきたあとでは打つ手は限られるうえ、修復のために膨大なコストがかかります。

私は若い頃の矯正を含めた予防的な歯科治療は、将来への投資と考えています。